【着物クリーニング事例8】水濡れから黒カビが発生した帯のメンテナンス
今回は水濡れによって 傷んでしまった帯の事例をご紹介いたします。

上階からの水漏れにより着物が濡れてしまった、とお悩みのお客様。
お母さまから譲り受けて大切に保管してきた黒留袖の一式も濡れてしまったとのこと、とてもショックだったと思います。
水漏れは日常生活では気付けないところで起こっていることもあり、このような被害のご相談も時々おうけすることがあります。
【染み抜き困難】黒カビの発生した帯のメンテナンス方法を考える
ご依頼を受けた後は当店スタッフが状態を確認、最適なメンテナンス方法を考えてお客様にご報告いたします。

帯には、黒カビが発生していました。
帯芯、裏地などにも黒カビが見られます。

黒カビは、染み抜きで落とす事が困難です。
染み抜き作業により生地を傷つけてしまうことも懸念されたので、他の方法を考える必要があります。
お客様とご相談の上、下のような方法で帯をメンテナンスすることに決まりました。
メンテナンスの流れ
【洗い張り】…帯を解いて全体のクリーニング
【裏地・帯芯・無地場(柄のない部分)の交換】
…これらも黒カビが発生していたので、新しいものに交換します。
(※交換用の生地の色合いなどは事前にご報告)
【仕立て・箔のせ】…帯をもとの形に仕立て、金・銀の砂子(すなご)
をのせて見た目を整える
(金砂子は、着用を繰り返すと少しずつはがれてしまう可能性もあります※。そのことも前もってご連絡いたしました。)
※これまで当店では、金砂子で加工した部分がボロボロはがれてしまったというご報告を受けたことは無く、箔のせした後も丸洗いは可能です。
洗い張り・箔のせをしたらどう変わる?
メンテナンス内容が決まったら、実際の工程に入っていきます。
【洗い張り】
昔ながらの和服の洗い方で、一度解いてから水で全体を洗います。
詳しくはこちらをご覧ください。
洗い張りについて詳しくはこちら(きもの辻「仕立て直し」ページ)
和服の美しさをよみがえらせる方法としてかなり効果的な「洗い張り」ですが、やはりまだ黒っぽいくすみが見受けられます。

【仕立て】
次の作業は「仕立て」です。
洗い張りは帯を一つ一つのパーツに分けた状態で洗うので、ここから帯の形に戻す作業が必要なのです。
表地の無地場(柄の無い部分)はカットし、新しい生地を入れて繋げて仕立てます。
裏地・帯芯も新しい生地に取り換えました。
【箔のせ】
ここから金砂子を乗せて完成です。

松葉柄の柔らかな雰囲気をしっかりと残しつつ、黒っぽい変色が目立たないように全体的に金砂子を施しました。
波線のような箔の模様は、『立涌(たてわく)』という柄のイメージです。
立涌(たてわく)
蒸気や雲が立ち上る様を表す。非常に縁起のいい文様。
大事な着物のメンテナンスをお任せいただき、ありがとうございました!
きもの辻では、色々な方法でお客様のお悩みにお答えしております。着物に関することでお悩みの際は、あきらめる前に一度ご相談ください。

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