専門店の着物クリーニング事例2:しみ抜き 「一度他店で『しみ抜きはできない』と言われてしまったのですか…」とのご相談

他店で落とせないと言われたシミのしみ抜き

「穴があくからしみ抜きはできない」
他店で一度断られてしまったけど…

こんにちは、きもの辻の横山です。
今回の着物クリーニング事例は、しみ抜きのお話です。

お客様が久しぶりに訪問着を出してみたところ、右の肩と襟に茶色いシミがありました。

赤い目印のある部分がご相談されたシミです。


最初に見てもらった所で、
「このシミは落とせない」、「穴が空くから、柄足しが良いと思います」
というご提案があったそうです。
(柄足し…柄を描き足して、シミを隠す方法)

シミがあったときの対応として、「柄足し」も立派なメンテナンス方法。
もちろんきもの辻󠄀でも取り扱っているし、お喜びいただくことの多いメニューです。

しかし今回のお客様は、できれば柄足しよりしみ抜きがしたいと思い、当店にもお問い合わせをして下さいました。

お客様が「柄足し」ではなく「しみ抜き」をしたい理由

実は今回ご相談くださった訪問着は、お客様の亡きお祖母様がお作りになったもの。
何とか形を変えずにきれいにしたいとご希望で、そのお気持ちはスタッフも痛いほどよく分かります。 

そこで、まずは着物の状態をご確認しながらご相談させていただくことをお願いしご訪問による集荷をすることになりました。

訪問集荷 「楽々集荷サービス」ページ 

きもの辻の訪問集荷は、ただ着物をお受け取りするだけでなく
その場で着物を拝見して「作業のご提案」「お見積り」をいたします。

着物クリーニング 訪問集荷・無料お見積り

着物を拝見し、きもの辻が出したご提案は「しみ抜き」 

ご訪問日、実際に訪問着を確認したところ生地が透けているような状態はありませんでした。
(透けている場合、生地が薄くなっているなど穴が空くリスクをより強く考慮しなくてはなりません)

先述の通り、きもの辻でも「柄足し」をすることは可能ですが
しみ抜きをしても穴が開く可能性は低そうです。

当店からは「しみ抜き」「柄足し」両方をご提案しました。

お客様に以下の事をお伝えし、ご相談を進めていきます。

  • しみ抜き中に穴あきがしそうな時は、職人がしみ抜きを即中断しご連絡をいたします。
  • しかし、慎重に進めていても穴があいてしまうこともごく稀にあります。
  • そのような場合は、裏から生地を当てて穴あきの補正をする事になります。(カケハギと違って、穴を埋められるわけではありません)

通常のしみ抜きでは穴があくことはほぼありません。
しかし今回は、お客様にこれらのリスクをご説明した上で「しみ抜き」か「柄足し」か、クリーニング方法をお選びいただきました。

お客様の選んだ方法は「しみ抜き」です。

「説明も丁寧だったし、着物もとてもきれいになって大満足です」

しみ抜き作業は、今回のようなケースに限らず常に慎重に進めていきます。
きもの辻の「しみ抜き」について詳しくはこちらをご覧ください。

しみ抜きが困難と職人さんが判断したら作業を中断し、必ずお客様とご相談をいたします。
しかし今回は穴があくことも無くスムーズに進み、無事にきれいな状態でお客様にお届けすることができました。

しみ抜き終了した着物(シミのあった部分)はこちらです。

生地を傷めることなく、シミもきれいに落とすことができました。

お客様からは「ダメ元でお願いしたけど、きれいになって良かった!」「訪問でお見積りの時も、丁寧に説明があって良かったです」とご感想をいただきました。
しみ抜きをお勧めすることができて本当に良かった、と思います。

形見の着物をクリーニングしたいというご相談はとても多いです。着物の状態もお悩みも、お客様ごとに違うため、クリーニング方法のご提案も毎回違ってきます。
しかしどのクリーニングでも、「きれいになって良かった」「ほっとした」というお言葉をいただくのが何よりの喜びです。

他店でクリーニングは無理と言われたけどまだあきらめきれない、という着物がありましたら
一度きもの辻にご相談ください。お役にたてるようできる限りのことをいたします。

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