「これ以上伸ばせない」と言われた着物の身幅(横幅)をさらに伸ばしました
きもの辻の桑原です。
今回は、結婚式で使う『黒留袖(くろとめそで)』の身幅(横幅)を、最大限まで出した事例を紹介いたします。
お嬢様の結婚式を控えているとの事で、叔母様から譲っていただいた黒留袖の寸法をお直ししたいとのご依頼でした。
先に呉服屋さんに持っていったところ「柄(がら)が無いのでこれ以上伸ばせない。新しく購入した方が良い。」と言われたとの事。
「柄が無い」とは、どういう事なのでしょうか?
こちらがご依頼の黒留袖。素敵な柄ですね。
丸い柄にかかる縦線が、左足サイドの縫い目になります。膝からふくらはぎぐらいの位置です。
どのくらい寸法が出るのか、一部解いて確かめてみたところ、
生地は十分出せるのですが、柄が途切れてしまいます。
(これは、黒留袖や振袖によくあります)
これが、「柄が無い」という状態です。
このまま仕立てると、着た時に無地の部分が目立ってしまいます。
これですと、結婚式での着用は難しそうです。
せっかく寸法は伸ばせるのに、もったいない!
お客様から「昔の着物だし、レンタルも考えたのだけど、これは叔母の遺してくれた大切な着物で、私はこれが着たいんです。」
というお話をいただきました。
その気持ち、とてもよく分かります。何とかいたしましょう。
今回は、『柄足し』で対応いたしました。
生地の柄の無い部分に、新しく柄を描き足す技法です。
ビフォー(左わき)↓
アフター(左わき)↓
ビフォー(右わき)↓
アフター(右わき)↓
このように、まったく違和感なく加工できました。
これでしたら、結婚式当日、堂々と着られますね。
先日、こちらの着物をご依頼いただいたお客様から、着用後のクリーニング依頼でご訪問させていただき、「主人も喜んでいました。ありがとうございます。」とのお言葉をいただきました。
「この着物が着たい。」というお気持ちに応えられて嬉しいです。
「よそのお店で断られた。」「もう直らないと言われた。」
そのような場合でも、是非一度、きもの辻にご相談ください。
お待ちしております。
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