番頭の気持ち。

こんにちは日本橋店番頭の松田です。

私事ですが、通勤電車の中で本を読むのが楽しみの一つです。

近頃は時代小説、江戸時代を舞台にしたものが好みです。

本探しは、ブックオフが定番ですが、図書館も利用します。そんな中、時代小説のコーナーに「着物始末暦」という文字の本を見つけました。

「着物」という文字に反応してしまうのは、いささか職業病かと、頭をかしげましたが、興味心が先でした。

前回に日本橋富沢町が江戸時代に古着商のまちで、そこで繰り広げられるお話の本を紹介しましたが、日本橋界隈に何かと縁があることが楽しくて、お店が日本橋にあって良かったとつくづく思います。

今度のお話も日本橋界隈が舞台の江戸市井の日常話ですが、主人公が「着物の始末」(染み抜きや仕立て直しなど、)古着の再生の職人で、着物大好きというところが、共感してしまいました。

全10巻だそうです。

お客様のご依頼の中に、譲り受けた着物のお直しなど、まだまだ着たいからと染み抜きや寸法直しをされることが近頃増えている感じがします。

私は呉服の販売に長年に携わって来ましたが、着物を新調しようという方が減っていると感じています。実際に高額ですし、着用頻度も少なくなって、日常から遠のいているようで、とても残念な状況と感じます。

それでも、お母様やお祖母様のお着物を上手に着たいと言う方は増えているようです。とても嬉しいことだと思います。

主人公の言葉に、

「きものってなぁ人の思いの憑代だ。だからこそ、ただの古着でもあだやおろそかにしちゃいけねちぇのさ。見た目は安いぼろだとしても、人によってはこの世に二つとねぇ大事なものかもしれねからな。おれはそう思って古着の始末をしているんだ。」

「始末」とは、染み抜きや仕立て直しの事です。

この小説を見つけて、今の生業は遠く江戸時代にもあったのかと、感慨深くもなり、嬉しくもありで、喜んでいます。

まさに、「きもの辻」がこの気持ちでお客様のおてつだいをしていると自負しました。

大切なお着物のお手入れのお手伝いを「きもの辻」はしてまいります。

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